2008年11月20日木曜日

2008年11月20日(木) 米Big 3 の言い訳

公的資金の無心のために居並ぶ米Big 3のCEOら
今日もいい天気でしたね。しかも、寒い...。週間天気予報によれば今日を境にやや気温も上昇してくるようですが、昔はもっと寒かったことを考えると、これくらい我慢、といったところでしょうか。
 
ところで金融危機によってGMが危険な状況にあることは以前よりお伝えしていますが、その関連で興味深い記事がありました。
 
先日行われた米上院公聴会(11月18日)において、公的資金による支援を訴えにきた米3大自動車メーカー(ビッグスリー)の首脳が自家用ジェットでワシントン入りしていたというのです。自動車業界救済のため、250億ドルの緊急融資を訴えにきたのだそうですが、こういうことって、まずはCEO自らも経費削減に努めています、という姿勢が肝心なのではないかと思います。自家用ジェットを使用した言い訳として、3社とも「安全上の理由から、CEOの出張には自家用ジェットを利用するという規程があり、その規程に沿っただけ」としているそうです。そうはいっても公的資金、すなわち税金の陳情に来ているわけですから、規程は規程として、もう少し臨機応変に対応できなかったものでしょうか。これではいくら「合理化を進めています」といっても、説得力がなさすぎます。
 
自家用ジェットを使用したことに対する3CEOのコメントはなかったようですが、公的資金の陳情だけはしっかり行ったようです。GMのワゴナー会長は、「原因は世界の金融危機だ。(自動車産業が破綻すれば)雇用面など、米経済に壊滅的な被害が及ぶ。およそ300万人が職を失い、1,500億ドルの所得税が失われて、向こう3年に渡って1,560億ドルの税収減につながる。」と警告したそうです。また、クライスラーのナルデリ会長も、「破産を申請すれば、そのメーカーからは消費者は車を買わなくなる」と訴えたそうです。パパペライザーには、まるで脅しにしか聞こえません...。
 
企業のトップがプライドもかなぐり捨てて「破綻」に言及してまで国に助けを求めたようですが、自らの経営責任を認めたのは誰一人いなかったというのも特徴的ですよね。当然、ある議員から「その公的資金は何に使うつもりかね。ビジネスモデルや生産ラインの改善のためかね?それとも単なる(一時的な)延命措置かね?」と聞かれたそうです。コメントが記事になかったので、恐らく誰も返事ができなかったのではないでしょうか。
 
ところで、さきほどの自家用ジェットの話には続きがあります。翌日(11月19日)行われた下院金融サービス委員会の公聴会で、ある民主党の議員が、「豪華自家用ジェットでワシントンに乗り入れ、そこから降りて来た人たちがブリキのコップを手に持って、経費削減と経営合理化を行いますと言うのは大層な皮肉だ。生活困窮者のための食料配給所にタキシードと山高帽で出かける人たちを見ているようだ。せめて民間機のファーストクラスや(自家用機でも)乗り合いで来られないものか」と皮肉ったそうです。続いて別の民主党議員が、3人のCEOに向かって「民間機でここに来た人は手を挙げて」と質問。「手が挙がらないようなので記録しておこう。次に、自家用ジェットを売却して民間機で戻るつもりのある人は手を挙げて。これも手が挙がらないようなので、記録しておこう」と言ったそうです。まるでどこかの漫才みたいですね。
 
参考までに、自家用ジェットを一回飛ばすと、デトロイトとワシントンの往復で約20,000ドルかかるそうですが、定期便のファーストクラスにランクを落とすと(!?)約840ドルで来れるのだそうです。しかも、GMワゴナー会長の自家用機は3600万ドルもするそうですし、維持するだけでも相当経費がかかっていることでしょう。公的資金の無心を行う前に、まだまだ3社には行うべきことが山ほどありそうです。

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