2009年9月29日火曜日

2009年9月29日(火) セロトニン欠乏脳

最近、地元の図書館で「セロトニン欠乏脳」という本を借りてきました。読んでみると面白く、いろいろ参考になる情報があったため、内容を簡単に説明したいと思います。
 
まずもって、セロトニンとは何か?簡単に言うと、心の状態を演出する3つの神経のひとつです。人の心を大きく2つに大別すると、快と不快、好きと嫌い、報酬と罰のように、ポジティブな面とネガティヴな面に分けることができます。ポジティヴな面、快楽や欲望、報酬に関連する心の状態は、ドパミン神経によって主に制御されています。一方、ネガティヴな面、不安やストレスなどに関連する心の状態は、ノルアドレナリン神経によって主に制御されています。これら2つの神経に対して抑制をかけているのがセロトニンになります。で、このセロトニン神経がしっかり働いていると、不安にもならず、舞い上がりもせずに平常心で生活できるということになります。
 
ひきこもりやキレるという状態(感情を爆発させ、常軌を逸した行動をとること)は、脳内のセロトニン神経が弱っているから起こるということを、この本では訴えています。他にもセロトニン神経が弱っていると、うつ病やパニック障害、摂食障害などの症状があらわれてくるそうです。
 
では、どうなるとセロトニン神経が弱ってしまうのか?そもそもセロトニン神経は、歩行や呼吸、咀嚼などの基本的なリズム運動によって活性化されるというユニークな特性をもっています。従って、毎日の生活の中でこれらのリズム運動を極端に抑えた生活を継続していると、セロトニン神経が弱ってしまうことになります。それから、セロトニン神経は太陽の光(2500ルクス以上の照度の光)でも活性化されます。室内照明程度の光(100~250ルクス程度)では効果はありません。したがって、昼夜逆転の生活もセレトニン神経を弱めてしまうことになります。さらには、心労や疲労もセロトニン神経の働きを阻害することになります。疲労によって乳酸が血液に蓄積してくるのですが、その乳酸がセロトニン神経の運搬機能を促進してしまい、セロトニン神経が標的細胞に十分な影響を与えるまもなく、再取り込みされてしまうのです。
 
リズム運動を極端に抑えた生活の具体例をひとつあげますと、ゲーム漬けの生活があります。ゲームというハラハラドキドキの状況は、極度に息を詰めた状態に相当します。例えば呼吸のリズムひとつとってみても、非常に抑制されることになります。この状態が長く繰り返されると、やがてセロトニン神経の働きにマイナスに作用してしまうことになります。
 
ということで、どうすればセロトニン神経を活性化させることができるか?リズム運動を継続することに他なりません。ウォーキングやジョギング、水泳、エアロビクス(やさしいもの)、太極拳、呼吸法などがあります。大切なことは、20~30分継続することですが、やりすぎて疲れてしまうと逆効果(セロトニン神経に備わっている自己抑制機能が働いてしまう)になってしまうので、ご注意ください。もうひとつ、太陽の光を浴びることです。これも、20~30分程度がよく、浴びすぎるとリズム運動同様に逆効果になってしまいます。加えて、十分な休養です。
 
ちなみにどの程度リズム運動を継続すればよいかですが、1日20~30分。期間としては、セロトニン神経の基本的な構造を変更(自己受容体の数が増え始める)させるのに、まずは3ヶ月。その期間を過ぎたら3年(セロトニン神経が恒常的に高い活動レベルにシフトする)と言われていますので、参考にしてください。(たぶん私にはできませんが...)

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