2009年5月31日日曜日

2009年5月31日(日) 機能別訓練

こんなのを使って説明してくれました
昨日、マンションの理事会と自治会の共催で、機能別訓練というのを実施しました。自衛消防隊の災害時体制における機能ということで、「情報班」「消化班」「避難誘導班」「補給班」にわかれて、それぞれで行う訓練です。ちなみにパパペライザーは「救護救出班」。負傷者等が発生したときに、担架や簡易ベッド、救急セットを準備したり、その数を把握したりする係です。駆けつけた医者や救急隊がマンション住民の治療を行うにあたって、治療等をしやすくする環境を整備する係と言い換えることもできます。当日は市川西消防隊の皆さんにも来ていただき、自衛消防隊の役割や大災害の裏話や、AEDの使い方(写真のトレーニングシステムを使用)や救急セットの使い方なども直接指導してくださいました。
 
そこで印象に残った話をいくつか披露しますと...
 
■火災の原因は主に「台所での出火」「タバコの不始末」「放火」です。「タバコの不始末」や「放火」は論外としても、立ち消え装置などの安全装置を備えたガスコンロからなぜ火災が起こるのか。例えば天ぷらを揚げるときの油は、再利用するたびに発火点が下がります。新品の油を使うときは大丈夫でも、再利用していくうちに、同じような使い方をしていても、突然火がついてしまうことがあります。
 
■火の不始末ということではこんな話もあります。ある人が何日も徹夜をして成功させたプロジェクトがあったそうです。その成功を収めた日に、しこたま飲んだそうですが、翌朝、少し体をさっぱりさせようとして風呂を沸かそうとしたときに、バスタブの栓を直接持たず、鎖で栓を釣った状態で栓をしたんだそうです。そうしたらその栓が不完全な状態でしまっていたために水が漏れ、風呂を沸かす火が消えてしまったために、火災に発展したというのがありました。
 
■タイタニック号の沈没事故は単に氷河にぶつかったために沈没したのではなく、複合的な要因があります。まず、完成予定が1ヶ月延びてしまったこと。これにより、本来ならば氷山があまり流れてこない時期に航海ができたはずが、氷山が数多く流れ出てくる時期と重なってしまうことになりました。氷山が数多く流れ出てくれば危険なため、そこで航海をやめておけばよかったのですが、絶対に沈没しないというようなふれこみで建造していたため、ある種の過信もありました。そのため、当然のごとく出ていた氷山の警告も深刻に受け止めることなく処女航海に出たタイタニック号は、結果的に氷山にぶつかり、歴史に残る大惨事につながってしまいました。
 
■ある木造の2階建てアパートで火災が起きたときのこと。そのアパートは中央にしか階段がついておらず、ひとたび火災が発生すれば、火災発生場所より奥の部屋の住民は逃げ場を失ってしまうような構造になっていたのです。それなのに、奥の部屋にいた4人の子どもが助かった事例がありました。理由を聞いてみると、子どもたちは夜な夜な夜遊びに出かけるために、アパートの端にあった雨どいを伝って外に出ていたのだそうです。結果的にそのことが功を奏して命が助かったわけで、日ごろの訓練の大切さを教えてくれるいい教訓となりました。
 
■ホテルニュージャパンの火災も様々な要因がありますが、このホテルの火災を消防に知らせたのはホテルのスタッフではなく、近くを歩いていた通行人でした。あるフロアで火災が発生し、ホテルのスタッフがなんとか一人で消火をしようと頑張った。結果、埒が明かなかったためフロントに戻り、応援を呼んだ。そうこうしているうちに通報が遅れて火勢は広がり、取り返しのつかない惨事となった。
 
様々な話をしてくれたのですが、最終的には「機能別の訓練をきちんと行っておくことで、各人が各人の役割を認識でき、災害が発生しても、その拡大を最小限にすることができる」という話につないでくれていました。
 
やっぱり(職業とはいえ)災害という修羅場を数多く体験した人の話は説得力がありますよね。防災訓練というと、日常生活における忙しさにかまけ、ともすれば軽んじて扱ってしまいがちになりますが、こういう話はきちんと聞いておくことが大切ですね。

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